
デンパサール国際空港に彼女が降り立ったのは、現地時間で午後6時になるかならないかぐらいであった。 そこでもうすでに、南国の、生ぬるい湿度と熱を彼女は感じずにはいられない。
出発時に、薄手の皮のジャケットにジーンズ姿では肌寒い感は否めなかったが、帰国は4月である。 それにあわせての薄着であったが、ここでは毛皮を着ているのに等しい。
彼女の名前が大きく書かれた段ボールを持った男が、ロビーで出迎えた。そこには、「ENDO MINAKO」と 大きく記されていた。このツアーの現地ガイドだった。
彼女の名は、遠藤美奈子。このエアーチケットとホテルがパックされた格安ツアーで、この 神の宿る大地、バリ島に一月ほど滞在する予定であった。