もうすっかり夏だ。世間の婦女子もとびっきり薄着になって嬉しいこと極まりない今日この頃。
この日本でも、昔と違い、プロポーションの良い若人が街を闊歩している。美というものが多様化している現代において、見れないほど不細工な顔立ちの女はいない。逆転の発想で、本来マイナスの部分にポイントを置いたキュートなメイク。美しさに貪欲な女性たちは技術を磨き、それに費やす時間を惜しむことはない。
しかし、そんな不細工さんが少ない世の中、わたしには許せない存在がいる。ひとまず自分のことは棚に上げておく。
あれだけ鏡をのぞく時間があるのに、一人ではなく必ず友人や恋人と連れ立って歩いているくせに、自分の後ろ姿に注意を払わない女をわたしは許せない。連れも指摘してやってくれ。
街中でだらしなく地べたに座ろうが、ミュールをかこんかこん言わせて背中を丸めて歩こうが、もうこれは慣れてしまったのか、ああはなるまいと自分の肝に銘じはするものの、もうどうでもいい。
でも、どうしても許せない!あの背中のボンレスハムだけは!
この背中のボンレスちゃんはふくよかな女だけに見られるものではない。十分バランスの良いであろう女にも見受けられるのだ。
綺麗な女が目の前から歩いて来ている。わたしは、その足元からだんだん上部へと視線を移す。首や背中にかかるはずの髪の毛は丁寧に手入れされ、今、流行っている賓の良いレースやフリルのノースリーブ。タイトなミニから覗く長く美しい脚。涼しげな目元。艶やかな唇。
その女がわたしの横を通りすぎる。わたしはため息を漏らす。綺麗な女性だなと。そして1、2、3、と心で数え、振り返る。その女の残り香に引きつけられるがごとく。
そして、そして、振り返ったことを後悔するのだ。深く、それは深く。
何故なんだろう。どうしてなんだろう。あんなにスタイルが良いのに、背中に刻まれているのはボンレスちゃん。
婦女子の間では、勝負な日には、ワンサイズ、アンダーが小さいブラジャーを付けてバストを大きく見せるという涙ぐましい努力やテクニックがあるらしいが、はっきり言って身体に悪いことこの上ない。
わたしのように巨乳には興味のない人間だっている。自分手の平に調度収まるぐらいの形の良い胸の好きな人間も多いはずだ。
貧弱だから大きく見せたい。彼が大きい胸好きだから。そりゃあ色んな理由があるだろう。しかし!
そのボンレス、わたしだったら百年の恋も冷める。
服を脱がして、その下にゴージャス&セクシーな下着を付けていようが、それを外した後には、背中に大きな食い込み跡が。やる気無くなるって。萎えるちゅーの!>どこが?
ジャストフィット、タイトフィットの服でなければ、恋のため、美しく見せるためにそれでも良いと思う。が、前身頃は大きなフリルで隠れても、後ろ身頃はタイトで食い込み。だんだん畑の肉片が。ああ、嘆かわしい。
似合えばいい。何しても。でもね、ちびT着て、肉食い込ませるな!セクシーのつもりか?ああ〜ん?へそ見せながら腹の脂肪まで見せるな!
流行れば何をしても良いわけではない。もう少し本当に似合うものを見つけてみても良いのではないか?もう少し、後ろ姿を気にしても良いのではないか?ボンレスハムを食べるとき、ひょっとして自分がボンレスでないかと、少し想像してみても良いのではないか?背中のボンレス、不味そうなこと極まりない。
べいべい!この夏こそ、バックシャンを目指せ!